男性育休って何?取得するにはいつまでに何をすればいいの?
取得までのロードマップが知りたい。
こんな悩みにお答えします。
◆この記事のレベル
初心者 | (5.0) |
重要度 | (5.0) |
難しさ | (2.0) |
育休の経験がある男性はまだ少ないので、会社にロールモデルがなかったり相談相手が見つからなかったりして困りますよね。
男性育休に関心があっても、
- 制度がわからない
- 取った方がいいのかがわからない
- 申請方法がわからない
このようにわからないことばかりで悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、男性育休を取得した当サイト管理人が「わかりやすさ」にこだわって取得までのロードマップを作りました。
育休を取ろうか迷っている方、育休について何も知らない方でも効率的に検討・取得できるロードマップです。ぜひご活用ください!
私について
子供が生まれてすぐに育休を取得。現在は仕事に復帰して育児との両立を図っています。この記事はそんな二足のわらじをはいている人の視点でお伝えします。
男性育休ロードマップ
具体的な話に入る前に、まずは全体像をなんとなく把握しておきましょう。
上の図が育休を取得するまでの全体像になります。
やることが多そうだし、よくわからない書類もある…
こう感じた方も安心してください。一つひとつは簡単なことばかりです。項目ごとにやることやポイントを解説していきますので、このロードマップ通りに進めていけば大丈夫です!
ポイント
育休開始の4ヵ月前からロードマップが始まっていますが、それだと早すぎるor遅すぎるという方もいると思います。
基本的にはご自身の都合に合わせて時期をずらしても問題ありませんが、「育児休業申出書」の提出期限だけは守ってください。
育休開始の4ヵ月前:制度を理解する
まずは男性育休への理解を深めましょう。
いつから取れるのか?給料はどうなるのか?などポイントを把握することで、男性育休とは何かが見えてきます。
男性育休のポイント
- そもそも自分は対象者なのか?
- 取得方法は?
- 取得可能な期間は?
- 育休中のお金について
自分は対象者?
あなたが男性育休の対象者かは以下のチャートで確認できます。
契約社員や派遣社員の方も条件を満たせば取得できます。
取得方法は?
男性育休を取得するのに必要な手続きは以下の3つです。
男性育休の取得方法
- 育休の希望を会社に申し出る
- 育休開始日の1ヵ月前までに「育児休業申出書」を会社へ提出する
- 育休開始の1~2ヵ月後に育児休業給付金の申請書類を会社に提出する
提出する書類はどれも氏名や生年月日など簡単なことを記入するだけで済むので、手続き自体はすぐに終わります。
ただ実際のところ、手続き以外にも業務の引き継ぎや関係者への挨拶など押さえておきたいポイントがあります。
このロードマップはこれらのポイントも網羅しているのでご安心ください。
取得可能な期間は?
男性育休を取得できる期間は、出産予定日から子供が1歳になるまでです。
この期間内であれば、いつからどれくらい取るかは自由に決められます。育休期間の上限は1年間です。
例外として、保育園に落ちたなど特別な事情がある場合は、子供が2歳になるまで延長できます。
育休中のお金について
育休中は会社からの給料が出ない代わりに、国から育児休業給付金を受け取れます。
育児休業給付金の支給額は、手取り計算で育休前の80%相当分です。
お金については、支給額以外にも給付金を受け取れる時期やボーナスの扱いなど知っておいたほうがいいことがあります。
以下の記事でお金と期間について詳しく解説しているのでチェックしてみてください。
【男性育休】いつから取得できる?給料はどうなる?取得期間とお金について解説
ベビーベッドやチャイルドシートはお決まりですか?
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育休開始の4ヵ月前:夫婦で話し合う
制度が把握できたら男性育休について夫婦で話し合いをしましょう。
男性育休にはメリットもあればデメリットもあります。メリットが刺さる家庭だといいのですが、デメリットを受け入れられない家庭もあるはずです。
男性育休を取らなきゃよかった、反対に取っておけばよかったと後悔しないためにも、夫婦でしっかりと話し合いをしましょう。
男性育休の主なメリット
父親の メリット | ・育児に集中できる ・家族との親密な時間を過ごせる ・育児スキルが身に付く ・夫婦関係が良くなる ・父親自身の成長につながる |
母親の メリット | ・育児負担を夫婦で分け合える ・夫婦関係が良くなる ・育児の悩みや喜びを夫婦で共有できる |
子供の メリット | ・父親との関係が良くなる ・父親の育児参加は子供の発育に良い影響を与える※1 |
会社の メリット | ・国や都道府県から助成金を受け取れる ・男性育休の実績は企業イメージの向上につながる |
男性育休の主なデメリット
- 収入が減る
- 育休の取得前後で引き継ぎや挨拶回りなどの調整が必要
- キャリアへの影響が心配
話し合いのポイント①育児環境を確認する
育児環境は家庭によってさまざまです。以下のことを話し合って、自分たちは育児にどれだけのリソースを割けるのかを確認しましょう。
- 家事育児の分担をどうするか
- 祖父母など第三者の手を借りられるか
- 育児のために残業を減らしたり有給を使えるか
子どもが生まれてからの生活をイメージしてみて、母親のワンオペ育児が常態化しそう…父親が仕事と育児で板ばさみになりそう…などリソース不足が懸念されるようであれば、男性育休を前向きに検討していいはずです。
短期間でも育休を取れれば父親に育児スキルが身に付くので、育児環境や夫婦の協力関係は改善していきます。
話し合いのポイント②家計について話し合う
育休中は手取りが減ります。男性育休を取得した場合、暮らしの収支に問題がないかを検討しましょう。
貯金が一切なく、わずかでも手取りが減ったら生活できなくなる状況であれば、男性育休は取らない方がいいかもしれません。
詳しくは以下の記事で解説しているのでチェックしてみてください。
【男性育休って必要?】夫婦で検討するべき5つのポイントを紹介
今を逃すともうこんなチャンスはない
個人的には、男性育休は取れるなら取った方がいいと思っています。
夫婦が一緒になって懸命に育児をすることで、仕事だけの生活では決して得ることのできない充実した時間を過ごせるからです。
育休を取っておけばよかったと後悔しないためにも、今しかないこのチャンスを活かしましょう!
育休開始の3ヵ月前:希望する取得期間を決める
育休の取得が決まったら、いつから・どれくらい取るかを決めましょう。
これまで夫婦で話し合ってきたこと、業務の繁忙期、里帰り出産や引っ越しなどのイベントを考慮すると夫婦にとって都合のいい時期を見つけられるはずです。
時期にこだわりがなければ、出産予定日から取ることをおすすめします!
理由は以下の記事にまとめているのでチェックしてみてください。
育休開始の3ヵ月前:上司に育休取得の意向を伝える
いつから・どれくらい取りたいかが決まったら、その希望を上司に伝えます。
2022年4月から意向確認が義務化
現在は妊娠・出産を申し出た労働者に対して、育休取得の意向を確認することが義務化されています。
まだ育休について夫婦でしっかりと話し合えていない段階で意向確認をされたときは、「現在夫婦で話し合っている最中なので、回答は保留させてください」と答えておきましょう。
また、育休開始予定日の3ヵ月前になっても意向確認がされない場合は、引き継ぎや社内調整のスケジュールもあるので自分から取得したい旨を申し出るようにしましょう。
私の場合、育休申請の中で一番緊張したのがこの上司への申し出でした。
逆に言えば、これさえ乗り越えてしまえば残りの申請は簡単なものばかりです。頑張って自分の希望を伝えましょう!
申し出の前に制度と就業規則を確認
男性育休はまだまだ取得者が少ないので、会社の組織体制が整っていなかったり、上司の知識が足りていないことも考えられます。
場合によっては上司から的外れな指摘をされたり、育休取得に反対されるかもしれません。自分の身を守るためにも、申し出る前に最低限の知識を身に付けておきましょう。
会社の就業規則でわからないことは、人事担当者に問い合わせれば疑問に答えてくれるはずです。中には手厚い補助を用意している会社もあるようなので一度チェックしてみるといいと思います。
上司に伝えることは3つ
申し出では以下のことを上司に伝えましょう。
上司に伝えること
- 希望する期間
- 引き継ぎが必要な業務
- (聞かれたら)育休を取りたい理由
希望する期間ははっきりと伝えましょう。いつから・どれくらいを曖昧にしておくと後々トラブルになる可能性があります。
ポイント
育休を取りたい理由は難しく考える必要はありません。
回答に困ったら以下の2つを軸にしましょう。
- 親としての責任を果たすために子育てに参加したい!
- 妻の負担を減らしたい!
さらに、家庭の事情を追加すれば説得力が増すはずです。以下は例になります。
- 核家族世帯なので自分が育児をする必要性を感じている
- 身近に頼れる親族がいない
- 出産後の妻の体調が不安
業務の引き継ぎは上司と相談してから
業務の引き継ぎをいつから始めるかはその人の状況によって変わります。本来あるべきプロセスは、
- 育休取得の社内承認を得る
- 引き継ぎを始める
この順番ですが、それではスケジュール的に間に合わないこともあるはずです。
誰に何を引き継ぐかを上司と相談しながら決めていき、時期を見て引き継ぎをスタートしましょう。
育休中や復帰後は職場の人のお世話になる機会が増えていきます。予期せぬ摩擦を生まないためにも引き継ぎは丁寧にやっておきましょう。
上司が反対してきそう…
男性育休への理解がなさそうな上司だと不安ですよね。
原則として、育休は労働者の権利なので上司の賛否とは無関係に取得可能です。ただ、復帰後のことを考えるとあまり事を荒立てない方がいいかもしれません。
もし上司が反対してきそうなら、信頼できる先輩や人事担当者に相談してみましょう。
それも難しい場合は各都道府県の相談窓口に相談することをおすすめします。相談窓口では都道府県の労働局の方がプライバシー順守・無料で相談にのってくれます。
育休開始の1ヵ月前:育児休業申出書を提出する
上司への申し出が済んだら、育休取得を正式に申請する書類「育児休業申出書」を提出しましょう。
育児休業申出書は人事担当者に問い合わせれば用意してくれるはずです。
ご自身で用意する場合は、厚生労働省が公開しているテンプレートを使いましょう。
注意
育児休業申出書は必ず育休開始日の1ヵ月前までに提出してください。
これより遅れた場合、希望する日から育休をスタートできなくなります。
育休開始の1ヵ月前:関係者へ挨拶する
育休取得が決まったら職場や取引先へ挨拶をしましょう。
挨拶回りは面倒ではありますが、スムーズに育休を開始するためには周囲の理解やサポートが不可欠です。
育休が明けてからも子供のことで周囲のお世話になる機会が増えてくるので、少なくとも業務で関わりのある人には挨拶をしておきましょう。
挨拶で伝えることは以下の4つです。
挨拶で伝えること
- 育休の期間
- 最終出社日
- 自分の業務の引き継ぎ先
- 育休が取れることへの感謝の気持ち
ポイント
挨拶では前向きな気持ちを伝えましょう。
自分のせいで周囲の負担を増やすことになって申し訳ない…という気持ちから謝罪に終始してしまいそうになりますが、これはうまいやり方ではありません。
謝罪よりも「育休を取得できる感謝」や「復帰への意気込み」といった前向きな気持ちを伝えたほうが関係者の心証は良くなるはずです。
最近はテレワーク化も進み、メールで挨拶をする方も多いと思います。そんな方のために、コピペ可の例文を以下の記事にまとめているのでチェックしてみてください。
【メール例文】男性育休の取得・復帰時に社内外へ送るメールの例文集
育休前にやることは終了です。
お疲れさまでした。
続いて育休中の手続きに移ります。
産後2週間以内:育児休業対象児出生届を提出
妻の妊娠中に育児休業申出書を提出した場合は、産後2週間以内に育児休業対象児出生届を提出しましょう。
書類は会社指定のフォーマットがあるはずなのでそれを使います。
なお、子供が生まれてから育児休業申出書を提出した方にこの書類は必要ありません。
育休開始の1~2ヵ月後:育児休業給付金の申請書類を提出
育休開始から1~2ヵ月ほど経った頃に、会社の人事担当者から育児休業給付金についての申請書類が送られてきます。
送られてくる書類
- 育児休業給付受給資格確認票
- (初回)育児休業給付金支給申請書
書類を受け取ったら必要事項を記入して人事担当者に返送しましょう。
この書類を提出するときに必要なものは以下の3つです。
用意しておくもの
- 母子手帳の出生届出済証明が記載されているページのコピー
- 本人名義の通帳のコピー
- マイナンバーカード(申請書類にマイナンバーを記入する項目があるため)
ネットバンクで育児休業給付金を受け取る予定の方は、通帳のコピーの代わりになる印刷物を求められる可能性があります。
私は住信SBI銀行で受け取っていて、申請の際に口座番号がわかるwebページのスクリーンショットを印刷したものを求められました。
まとめ
以上で男性育休を取得するロードマップは終わりです。お疲れさまでした。
ここで紹介した方法ではうまくいかなかった…という方はお問合せページからご意見をいただけると幸いです。
あなたが無事に育休を開始できることを祈っています。
- ※1:石井クンツ昌子.”父親の役割と子育て参加”.お茶の水女子大学大学院.(参照2022-01-26)