この記事では、パパの育児に重要なキーワード「愛着関係」について紹介します。
この記事の簡単なまとめは以下の通りです。
- 愛着関係とは赤ちゃんとの愛情の絆
- 愛着関係は赤ちゃんの健全な発達に不可欠
- パパも赤ちゃんと絆を結べる
- パパと赤ちゃんが愛着関係を築くことはメリットだらけ
また、この記事は「赤ちゃんがパパに懐かない」という悩みを持った方の参考にもなると思いますので、ぜひ最後までお読みください。
愛着関係とは?
愛着関係とは、赤ちゃんが特定の人と結ぶ愛情の絆のことです。(参考:たまひよ育児用語辞典)
下記のようなお世話の積み重ねで赤ちゃんとの愛着関係が築かれていきます。
- 赤ちゃんが泣いたらやさしく抱っこをする
- おむつ替えや食事、寝かしつけなど日々のお世話をする
- 赤ちゃんと微笑み合い、やさしくスキンシップをする
愛着関係を築くために特別なスキルは必要ありません。基本的には赤ちゃんのお世話をしてスキンシップをとっていれば自然と愛着関係が築かれていきます。
また、愛着関係にはいくつかの段階があり、生まれてからだいたい3歳までの期間で絆が強まっていくとされています。
愛着は赤ちゃんの健全な発達に不可欠
赤ちゃんの健全な発達には、親との愛着形成が不可欠です。(参考:愛着の形成は自立の形成)
例えば、お腹をすかせて泣いている赤ちゃんにミルクを与えたとします。このとき赤ちゃんは二つの体験をしています。
- 泣くことで自分の不快感を誰かに伝えられた
- 伝えたことで不快感を取り除いてもらえた
こうした「誰かに何かを伝えられる」ことは大人であれば誰もが知っているコミュニケーションの基礎ですが、赤ちゃんにはそれがわかりません。
赤ちゃんは親から何度もお世話を受けることで親を信頼するようになり、コミュニケーションの基礎を学んでいきます。
そして、信頼している親からやさしくされることで「自分には要求に応えてもらうだけの価値があるんだ」という自己肯定感を持てるよう成長していきます。
親=安全基地
愛着関係にある親のことを「安全基地」と呼んだりもします。(参考:アタッチメント(愛着)形成と保育の役割)
赤ちゃんは不安を感じると、安全基地である親の元へ駆け込みます。このとき赤ちゃんは親にやさしく保護してもらうことで安心感を得ています。
この安心感を糧にして、赤ちゃんは新しい人間関係や見知らぬものとの接触にチャレンジしていきます。
このことから、健全な愛着関係を築くことはその後の友人関係やコミュニケーション能力の発達にも影響があると考えられています。
愛着関係を持てないでいると
長期にわたって親との愛着関係を持てないでいると、赤ちゃんの発達にネガティブな影響が出ることがわかっています。具体的には下記のような特徴があるようです。(参考:子どもの心を育てる保育)
- かんしゃくを起こしやすくなる
- 食事や睡眠リズムが不安定になる
- 認知機能に影響が出る
親という安全基地を持っていない赤ちゃんは常に防御行動をとるようになり、精神面だけでなく身体の発達にも影響が出てきます。
パパと赤ちゃんの愛着
愛着関係は赤ちゃんと密接に関わり合うママだけが築けると思われるかもしれませんが、それは違います。
愛着関係はパパと赤ちゃんとの間にも築けます。(参考:What are fathers for? Michael Lamb)
ケンブリッジ大学のマイケル・ラム教授が、父子の愛着について母子家庭と父子家庭の比較などさまざまな角度から調査をした結果、母親でも父親でも愛着関係を築く要因は同じであることがわかりました。
つまり、日々のお世話とスキンシップを続けてさえいれば、性別に関係なく愛着関係は築けるということです。
方法は冒頭で挙げた通りです。下に再掲しておきます。
- 赤ちゃんが泣いたらやさしく抱っこをする
- おむつ替えや食事、寝かしつけなど日々のお世話をする
- 赤ちゃんと微笑み合い、やさしくスキンシップをする
今は赤ちゃんに懐かれていないパパでも、これからお世話をはじめることで新たに愛着関係を築くことが可能です。
懐かれなくて困っているパパへ
毎日お世話をしているのに赤ちゃんが懐いてくれないという方は、以下のような対応をしていないか確認してみてください。
改善したい行動
- 赤ちゃんが泣いていても率先して対応しない。または、ママが対応できないときだけ自分が対応している
- 喃語(赤ちゃんの発する「あー、うー」といった言葉)に反応しない
- 積極的に笑顔を見せない
- テレビを見せっぱなし
- 育児中もスマホやゲームを優先
大人であっても、話しかけているのに無視されたり、反応が薄かったりする相手には好意を抱きませんよね。赤ちゃんも一緒で、自分の変化にすぐ気付いてくれる人、自分を邪険に扱わない人を好きになります。
上記のリストにあるような対応を続けていると、赤ちゃんは「パパは自分を助けてくれない」と感じてしまうかもしれません。
もし身に覚えがあるようでしたら、ご自身の育児法を見直してみてもいいかもしれません。
とにかく笑顔でたくさん話しかける
うちの子の場合は、笑顔でたくさん話しかけてくる人に心を開きやすいようです。初めて会う人でもたくさん話しかけてくる相手とは楽しそうに遊ぶ傾向があります。
赤ちゃんによって性格が違うので一概には言えませんが、我が子に懐かれずに困っている方は「笑顔でたくさん話しかける」を試してみてもいいかもしれません。
私としても、赤ちゃんと接するときは疲れを顔に出さずに笑顔でいることを意識しています。
パパと赤ちゃんが愛着関係を築くメリット
愛着関係の大切さはわかったけど、ママとだけ築けてればいいんじゃないの?と思われる方もいるかと思います。
そこでここからは、パパと赤ちゃんが愛着関係を築くメリットを紹介していきます。
ママの負担が減る
パパが赤ちゃんと愛着関係を築くことで、ママの負担を減らすことができます。
赤ちゃんの安全基地としての役割は、ママ1人で背負うには負担が重すぎます。パパママ共に愛着関係にあり負担を分散できている我が家ですら、赤ちゃんからの要求にうんざりするときがあるくらいです。
毎日ママ1人で赤ちゃんからの要求に応じていては、赤ちゃんのことがかわいく思えなくなってしまうことだってあります。
それが一時的であればいいのですが、慢性的に赤ちゃんを負担に感じていると母子の愛着にヒビが入ってしまうかもしれません。
ママの負担を軽減することは、母子間の健全な愛着の維持につながります。
赤ちゃんに良い影響を与える
赤ちゃんに与える影響については、「父親の科学」(白揚社 ポール・レイバーン著)で紹介されている調査をお伝えします。
1つ目の調査は夜泣きについてです。
パパが育児に深く関わるほど、赤ちゃんの夜泣きが少なくなることがわかっています。
イスラエル人の研究チームが発表したこの調査によると、生後1ヵ月と6ヵ月の時点で赤ちゃんの睡眠の様子を追跡した結果、パパが育児参加する場面が増えるほどに夜泣きの回数が少なくなることがわかりました。
2つ目の調査は問題行動についてです。
パパが育児に深く関わることで、かんしゃくや噛みつきなどの問題行動が少なくなることがわかっています。
オックスフォード大学のポール教授の調査によると、パパと赤ちゃんが上手に意思疎通できていればいるほど赤ちゃんが問題行動をおこす確率が減少していくことがわかりました。
また、同じ調査でママの接し方と問題行動の関係を調べた結果、ママがどんな態度で赤ちゃんと接しても問題行動をおこす確率は変わらないことがわかっています。
つまり、赤ちゃんの問題行動を減らすためにはパパの育児参加が有効だと結論づけられています。
おすすめの本「父親の科学」
父親の役割とは何かを紐解いていくポール・レイバーンの著書「父親の科学」には、ここで紹介した以外にも非常に面白い調査結果がたくさん掲載されています。
様々な角度から父親の役割を分析していて、どの結果も父親の育児参加に肯定的な主張が多いので読んでいて勇気づけられました。
この本に具体的な育児法は出てきませんが、
- 育児を頑張りたいけど最初の一歩が踏み出せない
- パパが育児をする価値ってあるの?
という疑問や戸惑いを感じている方にはぜひおすすめしたい一冊です。
パパ自身の成長につながる
愛着関係を築くためにパパが積極的に育児参加することはパパの成長につながります。
私の実感としては、「自分の機嫌を自分で取る」スキルがかなり身に付いたと感じています。
というのも、毎日「パパ!パパ!」とくっついてくる子供を優先して自分のことを後回しにしていると、それなりに不満が溜まってくるものですが、
子供やママにその不満をぶつけるわけにもいかないので、結局は自分で自分を納得させるようになっていきます。育児中の親あるあるですよね。
この積み重ねで自然と「自分の機嫌を自分で取る」スキルが身に付いていきました。「育児は育自」と言われるように、親はみな育児を通じて自分を成長させているのかもしれません。
幸福感も向上する
また、子供と愛着関係を築けたことで人生の幸福感が向上したとも感じています。
寝かしつけた後の寝顔を見ている時間、一緒に笑い合っている時間、我が子の成長を感じた瞬間など育児中のさまざまな場面でなんともいえない幸せな気持ちになります。
我が子と愛着関係を築き親密な時間を過ごすことで、仕事では決して得ることのできない充実感や幸福感を感じられるようになりました。
まとめ
ここまで愛着関係の解説とメリットについて書いてきました。
私たちパパは仕事・育児・家事と毎日慌ただしいですよね。
そんな日々を過ごしているとなにごとにも効率を求めてしまいがちですが、育児には時間と手間が必要です。
ゆっくりと時間をかけて赤ちゃんと向き合うことで、パパと赤ちゃんの愛着関係が出来上がっていきます。
ここまで解説してきた通り、健全な愛着関係は家族全体に良い影響を与えます。毎日数十分でもいいので、落ち着いた環境を作って赤ちゃんに自分のぬくもりを伝ることができたらいいですよね。